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7月
13

星が教えてくれたこれからの未来

「こくさいこどもフォーラム岡山 高校生懸賞論文2015」 では岡山県内高校生を対象に懸賞論文を募集しました。本校第2学年 三宅美聡 が優秀賞に選ばれました。題は「星が教えてくれたこれからの未来」です。題からも予想できるように美星町出身・美星中学校卒業生です。

Earthrise09

 

テーマ 2.ESDと私

星が教えてくれたこれからの未来

岡山県立矢掛高等学校 2年 三宅 美聡

 

私は星尾降神伝説が伝わる井原市美星町で生まれた。周囲を美しい星と美しい景観、伝統文化や様々な特産物に囲まれて育っている。私は美星という地に住んでいることが大きな自慢である。父は「美星観光協会」や「備中西商工会」、有志団体の「ゆい美星」といった複数の団体に所属し、美星を世界にアピールするためにいろいろな活動をしている。その中でも特に力をいれているイベントは「星空サミット」である。星空サミットとは、天文学者が選ぶ日本三選星名所に認定された、石垣島天文台、井原市美星町の星空公園、長野県南牧村野辺山公園八ヶ岳ふれあい公園の三地域が連携して、星空を観光資源に観光誘致に取り組もうというもので、天文学者を招き星の未来について考えるサミットである。第一回目は美星町、第二回目は石垣島で行われた。「星の郷美星町民」としての一人ひとりの町に対する想いが薄れてきたという問題が見えたと父は言う。外の状況を学び、今ある資源や文化を見つめ直すことで、方向性が定まり、新たな活動へと繋げていけるのだと思う。その結果として地域が活性化し、歴史や文化が次の世代へ継承できるのだと考える。

美星町は全国に先駆けて光害によって星の美しさを失わないよう、「美星町光害防止条例」を1989年11月22日に制定した。光害防止条例とは、生活に必要な照明を確保しながら光の害から星空を守ることを目的としている。都市部では、たしかに在るはずの星が、見えないことが普通になっている。都市部の子供達はこんなに美しい星を見ることなく大人になるのかもしれない。満点の星空の感動を味わえないなんて、もったいない。世界的にみると、夜の安全を守るという照明の本来の目的を超え、世界の様々な場所で過剰な照明が自然環境に悪影響を及ぼしている現状もある。明るい夜空が、生物の生活リズムを乱したり、天体観測に障害を及ぼしたり、過剰なエネルギー使用などの問題がある。ヒトの経済活動は生活圏外の空にまで進出してきている。照明は、暮らしに大きな利点をもたらしている存在であることは間違いない。しかし、バブル景気に日本が沸く1989年にこの条例が作られたからこそ、美しい星が守られてきたのではないだろうか。

「ゆい美星」が開催しているイベントのなかに、「ナイトウォーク」がある。それは、夜に美星町の星空を見ながら、ゴールの星空公園を目指して歩くイベントである。9kmのコースを中継地点で配られる美星の特産物を食べながら歩き、星の専門家から星座などの説明もある。美しい星を見ながら特産物を味わい、気軽に遊び感覚で自然に触れ、満天の星空、自然の大切さ、自然との共生を肌で感じられるイベントだと思う。このような星を資源としたイベントをたくさん開催することで、町の活性化にも一役買っている。

これからの社会を考える上で、未来を創る私達が、自分の町が好きだと思えるか、町をずっと持続させていきたいと思えるかが大切である。地元に住む私達には、星空や自然を今よりもっと大切にしなければいけないという意識を高め、現状をもっと知ろうとすることが大切だと思う。そのためには、地域の行事に積極的に参加し、そこで奮闘する大人と関わり、自分の考えを作り上げることが不可欠である。今の私にできることは、美星町の良さを感じられるイベントに参加し、美星で生まれ育った私の感じた意見を企画側に伝えることだと思う。また、他に先駆け「光害防止条例」を制定した美星町が先頭にたち、星や自然を守るために行っている活動を世界中に伝え、次世代の自然を守る一歩になればよいのではないだろうか。

世界に広く知ってもらうには、世界中の人が参加できる「美星町自然環境体験ツアー」を企画することが考えられる。そのような地道な活動を継続できれば、ほんの少しでも、次世代の自然を守ることに役立てると信じている。そのツアーに小中高生が参加し、世代間国際交流も深めていけばさらに効果的になるのではないだろうか。私は高校卒業後、観光について学びたいと思っている。そこで、どのようにしたら町が活性化できるか、イベントの参加者を増やせるかなどを考え、美星町の未来に役立てていきたいと考えている。今は、大きなプロジェクトを企画することはできなくても、美星町のことをもっと深く勉強し、イベントに沢山参加してみることから始めていこうと思っている。私達高校生が、自分の町とこれからの世界を引っ張っていかなければならない。そのために原点に戻り、もう一度自然の美しさを感じ、町づくりに活かすことが大切だと思う。

私は美星町という自分の町が大好きだ。外に出れば涼しい風と鮮やかな緑、夜になれば美しい星空。みんなで守ってきたものだからこそ、美しさが増すのかもしれない。だから自信をもって美星町民は、「美星町は素晴らしい町だ」と言うことができるのだ。そしてたとえ小さな町だとしても、美星町にしかない大きな発信ができる。小さな町が先頭にたち、世界に自然の美しさを発信していくことが、持続可能な社会への一歩だと私は考える。

 

出典① 美しい星空を守る井原市光害防止条例(平成16年12月17日条例第56号)

Earthrise09

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