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8月
05

8月5日に予定していた上勝町視察を中止します

8月5日に予定していた徳島県上勝町視察は、台風12号に伴う大雨のため、中止します。現地の皆様の安全と、被害の一刻も早い復旧を衷心より祈念申し上げます。

本校がESDのポイントのひとつとしている徳島県上勝町。

この時期に普段できない勉強をし、未来へのヒントを見つけて、自分の進路のことを考えるきっかけにしようというのが上勝町視察の目的です。

夏休みの1日を使って「持続可能な社会」の先進地域に行って、がんばっている人々の活動の様子や知恵と工夫を見てきます。「ゴミゼロ宣言」をし「ゴミの34種分別」を行っている徳島県上勝町は、テレビのコマーシャルにもなった「葉っぱ産業(彩事業)」で全国的に有名です。この町の取組を見ることは、生徒が、日本の将来を考えるためにきっと役立つと考えています。矢掛高校のESD(持続発展教育)体験活動を通して、ものの見方や考え方を、将来設計能力や意志決定能力に発展させるプログラムです。

【平成25年度視察より】

上勝町は、徳島市中心部から車で一時間ほどの場所に位置しており、人口は約2000人、高齢者率が50%という、過疎化と高齢化が進む町です。一方で、全国でも有数の地域活性型農商工連携のモデルとなっている町でもあります。昭和56年2月に起きた寒波による主要産業(特にみかん)の枯渇という未曾有の危機を乗り越え、葉っぱ(つまもの)を中心にした新しい地域資源を軸に地域ビジネスを展開し、20年近くにわたり農商工連携への取り組みを町ぐるみで行っています。この取組の中心となっているのが、【株式会社いろどり】であり、代表取締役社長の横石 知二(よこいし ともじ)氏です。この横石氏は平成25年9月29日(日)矢掛町に来られ、やかげ文化センターで講演をされています。備中ブロック商工会交流会行事として招聘されたものです。

人口2000人、徳島県の山あいの町上勝町では、全国の料理店、ホテル等に出される料理の名脇役といわれる妻物の生産に取り組んでいます。上勝町は総面積の86%が山林で高齢化比率は48%と典型的な山村ですが、恵まれた自然を生かした個性あふれる商品づくりが盛んです。この彩事業は昭和61年の秋からスタートし、現在190名の生産者がもみじや南天、笹など320種類の妻物を生産しています。万葉集にも伝えられているように、「かいしき」はもともと器がない時代に葉を皿がわりに使ったことが始まりとされており、料理の新鮮さや季節感をいきいきと表現することができるものです。その演出には自然に恵まれた上勝町のようなところが最高の商品が提供できることに気がつき「自然の恵みに真心添えて」を合い言葉に地域の女性たちが日々取り組んでいます。なんといっても頼りになるのが、地域独自のシステムを開発したことで、急ぎの注文は役場の防災無線を使ってファクスで瞬時に対応、全体的な流れは個々のパソコンを使って毎日何が必要とされているのか見ることができます。この独自の仕組みが使っていただいている料理人の方々に安心してお届けできる理由です。また地域活動としてゴミゼロ運動を展開し、町から出されるゴミを34種類に分別、現在80%のリサイクルを行ない2020年までに町のゴミをゼロにするという目標を立てています。環境面にも力を入れており、ゴミを焼却する施設もない、ゴミ収集車も走らないすばらしい環境のところで育てた葉っぱなんですよというのが、町を上げての取り組みです。「世界中探したってこんな楽しい仕事ないでよ」と満面の笑みで語るおばあちゃんの表情はまさに自分の居場所を見つけた幸せを実感しています。 【食と農の応援団HPより】

講演のマネジメントをしているのも、【株式会社いろどり】です。つまり社長の講演料も、会社の収入となるのです。つまり社長も商品のひとつ。ここまで徹底しなければいけないですね。

【平成25年度視察より】

 

上勝町は、日本で初めて2020年を目標にしたゼロ・ウェイスト宣言を行いました。ゼロ・ウェイストとは「無駄、浪費、ごみをなくす」ことです。ものの無駄遣いをせず、リデュース、リユース、リサイクルなどの実践や、そもそもごみにならない仕組やものづくりを求めることによって資源を有効に活用し、焼却・埋め立てごみを限りなくゼロに近づけようという取組です。上勝町では、2020年を目標としたゼロ・ウェイストの達成に向け、次のような取り組みを行っています。

①生ゴミ全量リサイクル

コンポスト、電動式生ゴミ処理機の購入補助により、生ゴミは全量各家庭で堆肥化・土に還しています。商業施設も業務用電動式生ゴミ処理機で堆肥化しています。

②ごみの34分別

生ゴミ以外のごみは、家庭において洗浄した後、町内にある「日比ヶ谷ゴミステーション」に各自が持ち込み、分別します。ゴミステーションは年末年始を除き毎日7時半~14時まで受け入れを行っています。自分でごみを持っていけない高齢者世帯については、2ヶ月に1度NPOが運搬支援事業として戸別収集しています。

③リユース推進拠点「くるくるショップ」

衣類、食器、雑貨などまだまだ使える不要品を自由に陳列することができ(上勝町民のみ)、また欲しい物は無料で持ち帰ることができます。上勝町の小学5年生が考え、作られたそうです。持ち帰りは町外の方も可能で、特に海外から来られた方がよく持ち帰られるらしいです。くるくるショップは年間約6トンの利用があり、ごみ削減に貢献しています。

 【平成25年度視察より】
上勝町は、木質バイオマス事業にも取り組んでいます。上勝町の約86%が山林です。外材の輸入等で林業は危機的状況となっています。上勝町では豊富な森林資源を有効利用できるものの一つとして、木質バイオマス利活用について以前から注目していました。月ヶ谷温泉では、重油から木質バイオマスに転換する事により安価で、雇用の創出も含め地域経済の好循環を実現し、CO2削減にも貢献しています。

【平成25年度視察より】

 

昨年度の生徒が提出した上勝町視察参加レポートを紹介します。

今回上勝町を訪れて一番感じたことは、この町にはごみが一つも落ちていないということでした。町民全員がゼロウェイスト宣言を意識されているのだなと思い、団結力があるなとおもいました。また、どの産業でも後継者不足が問題になっているということがわかりました。
日比谷ゴミステーションでは34種類分別が実施されており、住民がゴミを自分で持ってきて、分別してもらう仕組みになっています。分別するほとんどの場所に、にそのゴミがこれからどのように再利用されていくのか書かれてありました。町民が、自分の持ってきたごみの使い道を知ることができる仕組みになっていて納得することができるし、より分別に関心がもてるなと思いました。もともと上勝町では野焼きをしていましたが、山火事により禁止になりました。その後平成10年から12年までは焼却炉をしようしていましたが、ダイオキシンが基準値以上発生してしまったため、これも禁止になりました。そして、ものを燃やす行為、経済を見つめなおした結果、できるだけごみを燃やさないようにしようという結果に至りました。これがゼロウェイスト宣言です。しかし、物を燃やすのが主流だった日本からは初めは白い眼でみられました。オーストラリアのキャンベラなどでもこの行いはされており、次第に日本の福岡県大木町、熊本県水俣市でも行われるようになりました。
町の小学生が発案したリサイクルショップの無料版「くるくるショップ」がありました。こうすることによって、物が長い間受け継がれて使われていくので、エコだなと思いました。
上勝町では映画化されるほど彩事業が盛んです。彩とは、日本料理に使われるつまものの上勝町産品のブランド名のことです。全国シェア80パーセントとなっています。もともと上勝町ではみかん産業が盛んでしたが、1981年に大寒波がおこりみかんが全て枯れてしまいました。そこで、復興をめざし高齢者や女性が楽しくできて上勝町の環境を活かせる産業はないかと考えた結果葉っぱビジネスが始まりました。初めは4人でスタートし、マイナスイメージから始まりました。なかなか出荷しても売れなかったとき、生産者の皆さんが、つまものを使用する現場を知らないことに気付きました。現場に行って素材の一つ一つやニーズを学んだそうです。そうして、3、4年後徐々に盛んになっていきました。この仕事をされている方の平均年齢は70歳で、今の最高齢は91歳の方です。今までの中での最高齢の方は98歳までお仕事をされていたそうです。つまものは、行事やイベントにより注文が変動します。注文をとるのは早い者勝ちで、タブレットを導入し、チェックしています。この産業が発達したことによって、出番ができて自信がもてるようになり、元気な人が増えたそうです。今は後継者不足が問題だそうです。
上勝町には、たくさんの見習うべきところがありました。様々な困難を乗り越えて、環境に配慮し、生かしていってよい街づくりをしていったのだなと思いました。今回学んだ部分をしっかり自分の将来と照らし合わせて考えるようにしていきたいです。

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