今、世界には環境、貧困、人権、平和、開発といった様々な問題があります。ESDとは、これらの課題の解決につながる新たな価値観や行動を生み出すこと、そしてそれによって持続可能な社会を創造していくことをめざす活動です。そのESDの10年の最終年に当たる昨年、岡山市と名古屋市で「持続可能な開発のための教育に関するユネスコ世界会議」が開催されたのです。
その2014年のノーベル平和賞に女子教育の権利を訴えるマララ・ユフスザイと児童労働の撲滅をめざすカイラシュ・サティアルティが選ばれたことは、大変象徴的な出来事でした。2人の立ち位置・主張こそESDの本質なのです。2人の受賞スピーチでは、教育の意義が熱く語られていました。
しかしながら一方では、パキスタンで学校を武装グループが襲い銃を乱射、生徒ら130人以上が死亡する大惨事となりました。犯行は、ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさん(17)を約2年前に襲撃した勢力です。マララさんは、声明を発表し「こうした無分別で冷血なテロ行為が起きてしまい、わたしの胸は悲しみでつぶれてしまいそうだ」と述べました。昨日もフランスのパリでテロがあり、多くの犠牲者を出しています。
岡山市で開催されたユネスコスクール世界大会高校生フォーラムのキーワードは、”education”。
各国の高校生が持続性を促進するために最重要なものとして教育を挙げてあげていたのです。問題を解決するために必要なものは教育です。特に、発展途上国において、教育を受ける権利を行使できないことが、持続発展を阻害していると熱く語っていました。
学ぶことは生きることです。テロを防ぐには正しい教育しかないと私は信じています。
希望の苗を植えていこうよ 地上に愛を育てようよ
この素晴らしいふるさとに生まれ
悲しい過去も愚かな行為も
人はなぜに忘れてしまう 愛することをためらわないで
現代社会の課題を自らの問題として捉え、身近なところから取り組むことができる。そのような成長を年頭に当たり諸君に求めます。
岡山県立矢掛高等学校長 川上公一